カノン | J.パッヘルベル

パッヘルベルのカノン | ソロギターアレンジ【TAB・演奏動画あり】

優美な旋律と反復される心地よい和声により聴く人の心に深く沁みわたるパッヘルベルの「カノン」。
クラシックファンに限らず多くの人に親しまれているこの作品は、実は音楽史や現代音楽にも大きな影響を与えてきました。

本記事では譜面の演奏動画はもちろん、あまり知られていない作曲者ヨハン・パッヘルベルの人物像に始まり、「カノン」という形式の意味や現代における本曲の影響も併せて解説していきます。

目次

楽曲について

  • 曲名  :Canon(カノン)
  • 作曲者 :Johann Pachelbel (ヨハン・パッヘルベル)
  • 難易度 :Level 3
  • 形式  :ソロギター
  • 楽譜販売:あり

演奏・譜面動画

楽曲解説

パッヘルベルって誰?

カノンは現代でもいたるところで耳にするため曲自体は有名ですが、作曲者がパッヘルベルという人物であることはあまり知られていません。
この曲を作曲したヨハン・パッヘルベル(Johan Pachelbel, 1653-1706)は、17世紀後半のドイツで活躍した作曲家・オルガニストです。音楽史の区分で言うと、バロック期の作曲家にあたります。

ほかの作曲家を見てみると、同時期にはイギリス・バロック最大の作曲家であるヘンリー・パーセル(Henry Purcell, 1659-1695)がおり、パッヘルベルの少し後には《四季》で知られるアントニオ・ヴィヴァルディ(Antonio Vivaldi, 1678-1741)らがいます。

パッヘルベルとバッハ家の関係

「G線上のアリア」や「主よ、人の望みよ喜びよ」などで知られるJ.S.バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750))はパッヘルベルの少し後の存在で直接的な関係はありませんでしたが、実はパッヘルベルとバッハ家にはある関係がありました

それは、J.S.バッハの父で音楽家のヨハン・アンブロジウス・バッハと知人あるいは友人関係であったこと、そして、J.S.バッハの兄ヨハン・クリストフ・バッハに音楽を教えていたことです。

そのため、直接的にはパッヘルベルとJ.S.バッハには関係はありませんでしたが、パッヘルベルの音楽的影響が間接的にはJ.S.バッハにも及んだと言われています。
実際、パッヘルベルの作品はコラール前奏曲やフーガ、カノンなど、J.S.バッハが後に発展させる形式の基礎にもなっており、音楽的には先駆者的な存在でした。

カノンについて

曲名にもなっている「カノン」ですが、この名称は実は曲のタイトルではなく音楽形式の一つです。
この曲の正式なタイトルは「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ(Canon and Gigue for 3 violins and basso continuo)」といいます。

ではカノンという音楽形式は何か。
それは、ある旋律(メロディー)を時間差でほかの声部が追いかける形で展開される、対位法に基づいた作曲技法のひとつです。
旋律が時間差で重なっても美しく響かせる必要があるため、高度な構成力が求められます。

原題にも「カノン」という言葉は入っていますが、この作品が広まっていく過程で特に有名になったのが「カノン」部分だけだったため、自然と「パッヘルベルのカノン」と呼ばれるようになったようです。

難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと「輪唱」です。
小学生の頃に誰もが歌ったであろう「かえるの歌」で考えるとわかりやすいでしょうか。前の人が歌ったメロディーを後の人が追いかける、あれです。
正確にはカノン形式は輪唱よりも複雑な形をとることもあるので、イコールではありませんが。

ちなみに、カノン(Canon)という言葉自体は、ギリシャ語の「kanon(規則)」に由来しており、「一定のルールに従って構築された音楽」という意味合いがあります。
まさに「形式美」の象徴とも言えるスタイルですね。

現代音楽への影響

本作品の最大の魅力の一つが、繰り返されるコード進行です。
最初から最後まで、全編を通して以下のコード進行を繰り返す構造になっています。

|D |A |Bm |F#m |G |D |G |A |
|C |G |Am |Em |F |C |F |G | (ハ長調)

このコード進行は現代では「カノン進行」として親しまれており、現代ポップスやバラードで使用されている楽曲を数えるとキリがありません。
気になった方は一度「カノン進行 曲 一覧」などで調べてみてください。皆さんが聞いたことのある多くの曲に、このコード進行が使われているんです。
いくつかピックアップしてみるとこんな感じです。

糸(中島みゆき)、翼をください(山本潤子)、HOWEVER(GLAY)、負けないで(ZARD)、さくら(森山直太朗)、愛をこめて花束を(Superfly)、ハナミズキ(一青窈)、世界に一つだけの花(SMAP)、マリーゴールド(あいみょん)………

作曲の世界では「ヒット曲を生み出す黄金のコード進行」なんて言われることもあるそうで、いかに現代音楽シーンでもこの曲が重要かがわかりますね。

演奏ポイント

全体を通した曲の構成と、常に一定のベースパターンを先に理解することで、かなり弾きやすくなるかと思います。

構成について

ここでの構成とは、曲全体を通して4小節で一塊の「カノン進行」が単に繰り返されていることを指します。

メロディーはいろいろな形で登場しますが、いずれも4小節区切りでひとつのメロディーとみなすべきです。

ベースパターンについて

このアレンジのベースパターンは、常にコードが変化する度(=2拍ごと)に1回そのコードのルート音を鳴らすだけというシンプルなものです。

ソロギターの編曲では、メロディーと伴奏の音域の関係上、ある音がメロディーか伴奏化が一聴してわかりにくいケースもあります。
ただ今回の編曲では、メロディーとベースは極めてはっきりと分離しているので、まずは2拍ずつやってくるベースをしっかりと鳴らすことが重要です。

そしてそのベースも4小節で一塊ととらえ、常に2拍ずつ「C→G→A→E→F→C→F→G」を鳴らすだけということを理解してしまえば、あとはそこにメロディーを乗せるだけです。

楽譜情報・販売リンク

譜面はPiascoreで販売しています。
購入後PDFでダウンロードし、コンビニなどのコピー機で印刷してご使用ください。

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